2022/7/29-31 夏の滝谷クライミング

 今回の山行は涸沢をベースに滝谷のドーム登攀。5人が参加、私以外は滝谷初挑戦です。2チームに分かれ、Aチーム3人は滝谷を代表する人気ルートのドーム中央稜、私を含めBチーム2人はエイド本チャン挑戦でドーム北壁にアタックしてきました。

初日は涸沢入りするだけなので、明神・徳沢・横尾・本谷橋と各地点で30分近く休憩を挟みながら、牛歩のごとく涸沢入りしましたが、久々のテン泊アルパイン装備はなかなかしんどく、青色吐息で14時過ぎに涸沢に到着です。

縦走路から見るドーム北壁

 2日目、やる気を出して3時出発で涸沢を発ち、途中常念からのご来光を望みつつ一般ルートで北穂まで約2時間のアルバイト。縦走路に合流すると間もなく正面に北壁をさらしたドームが現れます。

ここでAチームと別れて、我々Bチームは北壁の基部を目指します。アブローチは嫌らしいトラバースもありますが、残置スリングなどを利用すれば懸垂なしで基部までたどり着けます。快適な基部のテラスで各ルートを観察、グレードが一番低く(Ⅲ、A1)フリーも人工も楽しめそうな北西カンテを選びました。いざ取付いてみると下から見るよりも傾斜があり、1P目のフリーピッチで思いの外苦戦を強いられます。

後でトポを再確認すると、1P目からA1になっていたので、フリーでは5.10aはあったと思います。残置支点はすべてハーケンなのですが、どれもかなり老朽化している様子で、リード登攀中A0でテンションをかけたハーケンが抜けるトラブルも。近くにカムで支点を取っていたので難を逃れましたが、ヒヤッとする場面でした。

ドーム北壁北西カンテ1P目

2P目は完全な垂壁でアブミの登場。ここもすべてハーケンで間隔は短いものの、老朽化の不安が残るため、細かく支点も取りながらアブミかけ替えてハング状を越えた先、ロープの流れを考慮してピッチを切ります。ここでもセカンド登攀時にアブミをかけたハーケンが折れ、落下するアクシデント。セカンドなので大事に至りませんでしたが、ビレイをしていても落下感が伝わってきました。最後に短いⅢ級程度のピッチを登り切ればドーム山頂です。

 当初は北壁の別のルートを登攀する予定でしたが、先ほどのハーケンの抜け・折れを体験した後で、ハーケンに頼ってアブミで体重を預けていく勇気が持てず、急遽Aチームを追いかけておかわりしてドーム中央稜へ。アプローチは以前と比べて悪くなっている印象でしたが、そこは一度来た道、最小時間で取付に到着。早速核心の1P目にアタックします。ところが左にある残置につられて、チムニーに入らずにルートから外れてしまい、しかも適切な終了点が無かったので2P目までリンクしてしまいました。おかげでロープがクソ重く、クライミングより引き上げに体力を使いました。歩きピッチを挟んで後半2Pへ。

滝谷から望む槍ヶ岳

上を見るとAチームがちょうど登攀を終えたところでした。3P目はチョックストンのあるハング越えが核心ですが、思っていたより難しくA0で突破。一方準核心の最終ピッチは存外容易に終了点に到達したものの、登攀途中から降雨となり、完登までにずぶ濡れに。デポ地で濡れた登攀具を急いでしまいこみ、涸沢へと下りました。

 

 

コロナ禍休業中で休業中で誰も居ない涸沢ヒュッテテラス

 最終日は撤収して上高地に下山するのみ。下りも5時間かかるところが横尾街道の難点。濡れて乾ききらなかった登攀具がずっしりと重荷となり、腰がやばかったです。

 久々に再アタックした滝谷は以前と比べクライマーも少なく、順番待ちが無かった一方、支点の老朽化など登攀環境が厳しくなり、良くも悪くもアルパインっぽさが増した印象を持ちました。次はカムフル装備でドーム西壁にアタックするのも面白さそうだなあ。

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