2021/7/22~23 コロナ禍4連休の北岳バットレス

参加者:大宮アルパインクラブ S氏、H氏、Y(投稿)


行程:
7/22(木) 芦安⇒広河原(設営)→Bガリー大滝まで偵察→広河原(泊)
7/23(金) 広河原→Bガリー大滝→4尾根主稜→北岳→広河原(撤収)⇒芦安

今シーズンは東京オリンピック開催のための特別な7月の4連休、しかも梅雨明け直後という絶妙のタイミングで北岳バットレスにアタックしてきました。しかし考えることはみな一緒、コロナ禍で予約制となった白根御池小屋のテント場は瞬時に予約が埋まり、登山口の広河原にどうにかテント場を確保、しかも翌日は広河原のテント場も予約いっぱいで、アタック日は最終バスに間に合うよう下山しなければならないという、バットレス実質日帰り山行という過酷な条件に。参加メンバー一同覚悟を決めて挑みました。

1日目は広河原山荘テント泊なので急ぐ必要はないものの、残雪の状況等偵察をしておきたいので、3:30から並んで始発バスで広河原入り。バスを降りて5分でテント場到着。コロナ禍で予約人数を絞っているだけにテント場は広々ガラガラ状態。木陰&ベンチ&テーブルのベスポジをゲットし、ここに1人1つずつ、3つのテントを囲むように設営して最高のベースキャンプが完成です。

一息ついて始発バスの登山者の群れが大方登山道に吸い込まれていった後に偵察にGO。それでもさすがに梅雨明け4連休初日なだけに大樺沢沿いのルートは大賑わい。みんな大きな荷物を担いで暑い中大変な思いをして登っている中、軽装で涼しい顔をして登れるのは、広河原ベースも悪くないかも、とこの時は思いました。2時間半ほどで目印となるボルダー岩のあるバットレス沢(B沢)に。ここからB・C沢中間両付近にある踏み跡を辿って30分ほどで迷うことなくBガリー大滝に到着。取付手前にわずかな残雪はあるものの問題になるものではなく、翌日アタック時はアイゼン不要と判断。3時間の行程なので4:30に到着できるよう1:30に出発することにしました。

2日目は0時前に起床。真夏のベースで標高1500mはやや寝苦しくて快眠できずじまい。何食だかわからない食事を採って支度を済まし、1:20出発。睡眠不足と昨日よりは重い荷物で足取りが重く、日の出時刻を過ぎた5:00前にBガリー大滝取付到着。先行Pが登攀開始するところでした。アプローチシューズのまま、1P目をH氏、2P目をS氏リードでBガリー大滝をクリア。辺りはきれいなお花畑ですがまだ先は長い。怪しげな踏み跡に一部ルートを見失うも小尾根を乗越してC沢へと下降。C沢には雪渓が残っていましたが、ギリギリかわしてヒドンスラブへ。時短のためロープを出さずにヒドンスラブを通過して、7:30ようやく4尾根主稜取付に。行動開始から6時間、ただでさえ長いバットレスのアプローチが広河原ベースで一層長くなり、この時点ですでに達成感らしきものを感じてしまいます。

いよいよここからは快適なクライミングが続く4尾根主稜。第1の核心クラックをS氏のリードで始まり、3人でリードを交代しながら登攀を進めていきます。前半戦は出だしのクラック以外は難しいところがなく余裕の登攀です。3人でのシステムは通常の2人でのつるべと比べてやはりやや時間がかかってしまい、先行Pとの差が徐々に開いていきます。ラッキーなことに当日の4尾根主稜は登攀Pが少なく、我々が原因で渋滞を作ることはありませんでしたが、このシステムでもっとスムーズにできるようになることが課題です。第2の核心、三角形の垂壁からがいよいよクライマックス。絶景の中、高度感抜群のリッジ登攀に懸垂、ナイフリッジのトラバース、最終ピッチにして第3の核心城塞ハングに至るまで、変化に富んだ登りごたえのあるピッチが凝縮しています。Dガリー奥壁から多くのPが登攀していて城塞ハング前で合流となるため、相当の順番待ちを覚悟していましたが、運よく大きな待ちをせずに最終ピッチまで抜けきることができました。

ここまでですでに12:30。思っていたよりも時間がかかりました。本来なら達成感に浸りのんびりくつろぎたいところですが、16:40の最終バスに間に合うよう下山しなければなりません。北岳から広河原までのコースタイムは3時間15分。登攀終了点から一般ルート合流までは一面のお花畑を辿る天国のようなところですが、ゆっくり堪能する余裕はなし。まだ余力のあったH氏のみが山頂にタッチしてきましたが、S氏と私は山頂もパスしてひたすら足を進めます。一般ルート合流13:00。八本歯のコルを経由するルートは北岳からの最短ルートなだけに一気に標高を下げていきます。一般ルートなので歩きやすいのですが、休み無しにひたすら下り続けるのはなかなか体に堪えます。努力の甲斐あって15:30にテント場に到着。そそくさと撤収を済ませて、16時過ぎに広河原のバス乗り場に無事到着できました。行動時間約15時間、ハードながら充実のバットレス準日帰り山行が完了しました。代償としてその後1週間もの間激しい筋肉痛に苦しむことになりましたが、これもまたいい思い出です!?

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