8/11-13 快晴の槍穂大キレット
メンバー田中、中川、K持(田中記録)
日時 前泊8月11–13日
天候 11–13日快晴
タイム
11日 上高地6:25⇒横尾9:00⇒槍沢ロッジ10:30⇒大曲11:48⇒天狗ヶ原12:55⇒殺生ヒュッテ15:00 (行動時間8時間35分)
12日 起床4:00⇒殺生ヒュッテ5:05⇒槍ガ岳山頂6:15⇒中岳7:47⇒南岳山荘9:05⇒北穂高山荘12:40⇒穂高岳山荘16:20(行動時間11時間15分)
13日 起床4:00⇒穂高岳山荘5:10⇒奥穂高5:55⇒前穂高8:00⇒岳沢ヒュッテ11:00⇒上高地13:10(行動時間8時間)
計画
コースは穂高から槍穂方向と槍から穂高方向の2通りが考えられるが、人気のコースの方が通過待ちが少ないと考え、槍から穂高方向へのプランとした。行動時間は1日10時間を想定し、殺生ヒュッテ、穂高岳山荘のテン泊で2泊3日。メンバーは、健脚の中川選手にハーフマラソン完走のスタミナ抜群のK持女史が参加。
1日目
最初はハイキング
天候快晴。横尾までは平たん路を早足。槍沢ロッジまではハイキング道だった。樹林帯を抜けババ平のキャンプ場を過ぎると、大曲までは川沿いのやや緩やかな登山道。そこをすぎると傾斜もきつくなってくる。槍はまだ見えない。
天狗ヶ原から殺生ヒュッテが苦しい
カール状の地形にハイマツ帯が広がる地形は美しい。だんだんときつくなる登りに息も荒くなる。このころ行動時間は7時間を過ぎ、ようやく槍ガ岳が全貌を現した。槍のふもとには殺生ヒュッテも見える。足が重い、喘ぎ声、むせるような息。15:00息も絶え絶えに殺生ヒュッテ到着。
メンバー全員が疲れ大
中川が天狗ヶ原付近から高山病の症状に苦しみ、テント設営後すぐに横になり休養。思いの他の登りにK持、田中ともに疲労感つよく、ビール不味く、食欲も減退。食事がのどを通らない。早々に就寝。
2日目
快晴の槍ガ岳山頂
4時起床。快晴。中川が高山病から回復。K持、田中ともに目覚めよし。朝食、トイレ、テント撤収まで1時間で完了。メンバー全員体調回復と判断し予定通り出発。槍ガ岳山荘まで40分。小屋の前にザックをデポして槍ガ岳山頂へ。快晴の山頂は正に360度の絶景。
快適な稜線歩き
槍ガ岳から下り、大食岳、中岳、南岳と3000m峰のアップダウンを越えて南岳山荘へ。人気の槍に比べると登山者は少なくなる。穂高を目指す静かな稜線歩きであり特に危険個所はない。
楽しい大キレット通過
南岳から大キレットへ大きく下る。最低のコルからは鎖場の登り、下り、トラバースが続く。ホールド、足場はしっかりしており三点支持をしっかり守れば鎖を頼ることもない。晴天のなか最高のコンディションの中で岩場を楽しむことができた。しかし最後の北穂高岳の登りでは全員バテ気味。大キレット通過は3時間半ほどかかった。
苦しい最後の難関
今回の核心部となった。北穂高岳到着時点で3名ともにかなりの体力消耗。北穂から涸沢岳の間は自分との闘いになった。ザックが重い、足の裏が痛い、足が上がらないなど。涸沢岳を過ぎ、穂高岳山荘に到着16:20。行動時間は11時間を超え3名ともに疲労困憊。
穂高岳山荘で乾杯
穂高岳山荘ではテン場が一杯だったが、遅く到着したパーティは山荘の配慮でテラスにテント設営を指示された。これは幸運。テント設営後、テラスの石のテーブルで早速乾杯。前に座っていた若者2名、滋賀県から来られた人懐っこい人物1名となぜか一緒に盛り上がった。ところで2名の若者は同じコースを8時間で走破。若い力には及びもつかないことを実感。
3日目
奥穂も前穂も快晴
4:00起床、快晴。5:12出発。穂高山荘から奥穂高岳はいきなりの急壁。寝ぼけた頭にザックの重さと岩登りが効く。ジャンダルムがよく見える。山頂は登山客でにぎわっていて記念写真も撮れないほど。一休み後前穂高に向かう吊尾根のトラバース道を歩く。前穂高へはザックをデポして登頂。西穂高までの荒々しい稜線が目を引く。そして槍は遥かに遠く見える。
急下りの岳沢
1000mの標高差を一気に下る。岩場続きで息が抜けない。怪我や事故が多いといわれるのもうなずける。岳沢ヒュッテから上高地までは長いハイキング道。樹林帯に入り木道が現れると上高地に到着。振り返ると前穂高の山頂付近にはガスがかかっていた。
振り返り(田中)
この山行の○
通常3泊4日のコースを2泊3日に日程を短縮してチャレンジ。3名とも疲れながらも無事に下山したこと。各自非常に充実した時間を過ごし、かつ山行に関する自信を深めることができたことがなによりも大きな収穫。さらに3日間とも雲一つない晴天に恵まれた点も幸運だった。
この山行の×
パーティにとっては予想以上の負荷となった点。特に2日目は行動時間が11時間を超えた。これはコースタイムの1時間遅れだが、その理由は北穂から穂高岳山荘までの岩場通過に時間がかかったため。槍ガ岳・穂高岳のコースタイムは厳しいということを念頭に置いておくことが大事。
考察
下山後に大キレットで11日登山者が滑落死亡したニュースを知った。我々が通過する1日前の事故。人気の槍ガ岳、大キレットだが、岩場を登れない人、降りれない人、はしごをもつ手や足が震えている人を何人も見かけた。大キレットに挑戦するためには、岩トレを十分に受講すること、二子山や両神山の岩場を経験しておくこと、そしてテン泊装備で1200m標高差を登るだけの体力があることなどが条件となる。
振り返り(中川)
このコースは数年前から計画していたが天候の関係で断念してきたコースだった。今回は絶好の天候に加え、足と気持ちが揃った仲間と一緒に歩き達成できたことはこのうえない感動となった。今後の山行の際、苦しんだ時には今回の山行を思い出して頑張ろうと思う。
良かった点 ①リーダーの的確な指示に従い、テント設営・撤収が短時間で済んだこと。また疲労度合を配慮したリーダーの休憩時間配分のおかげで誰も怪我することなく下山できたこと。
反省点 ①高山病にかかったこと。今までで一番苦しい高山病だった。一人で下山するつもりだったが翌朝回復し仲間に迷惑をかけることはないと判断し行動をともにした。 ②大キレットで地図を飛ばされた。不注意だった。
振り返り(K持)
田中CLが私の脚を信じてくれ参加できた今回の“槍穂キレット越え”でしたが、山行までに二人のように準備(訓練)ができず、足並みを揃えられず、メンバーには終始フォローして頂きました。本当に感謝でいっぱいです。仲間がいなければ、この体験と景色は味わえませんでした。お二人に教えて頂いたことを、私も経験を積み、力をつけ伝えていけたらと思います。次回はもっと強くなって帰ってきます。
良かった点 ケガもなく、予定通りに登りきれたこと。ほぼコースタイムで歩けたこと。岩稜帯で落石させず、安定して歩けたこと。
反省点 「体力・訓練不足」 日帰り山行が主になっていたため、3日間(8h、10h、8h)のロング山行で、集中力や、筋力が保てなかったこと。 テン泊装備(担ぐ練習ができていなかった)のため、ペースを上げられず、リーダーから遅れることが多かった。結果、コースタイムでは歩けたが、パーティーを遅らせてしまったこと。 ストックに頼る歩行のため、重心が傾き、無駄に体力を消耗したこと。
田中コメントおまけ
12日の夜、トイレに起きたついでに満天星空を見上げていると、ベルセウス座流星が見えました。30分で5つ。そのうち2つは大きくて、夜空の半分にかけて尾を引いて流れていきました。もちろん、願い事なんかしてる間はありませんでしたが。。。