メンバー:W辺(L) I村
以前から行ってみたかった赤木沢と高天原温泉。遅めの夏休みが取れ構想していたが、4日間の休みが取れるメンバーは少ないようで、沢抜きの一人旅かなあ…とも考えていた。すると、有給消化推奨の職場にお勤めのI村さんが参加可能となり赤木沢を含めた山行が可能となった。
前日夜に出発し、交替で高速をひた走る。明け方に近い夜中に有峰林道のゲートに着き、仮眠をしながらゲート開放の6時を待つ。
折立の駐車場は満杯状態でこの山域の人気の程を知る。
9月13日(土) 8:10 折立登山口より登山開始 9:55 三角点 11:35 五光岩ベンチ 12:40太郎平小屋 15:30 薬師沢小屋(小屋泊)
爽やかな空の元、軽快に…といきたいところだが、荷の重さに喘ぎながらの登山。
しゃがんで草花を撮るふりしてちょっとずつ休憩する。
2Lのワインとテントを担いでいるが、この日のI村さんはまだ元気。そんなに大量のワインをどうするんだ…?とこの時私は訝っていた。
太郎平小屋に到着。ここからは薬師沢小屋まで下りなので、心身ともに軽くなる。風があり休憩中は寒かったが、歩いているとちょうどいい気温。
薬師沢小屋へのルート。ガスっていてくっきりとした展望は望めなかったが、これはこれでいい雰囲気。
薬師沢小屋に到着。担いできた食料の余剰分が出そうだったので、一泊夕食付(朝食なし)での宿泊とした。満員の宿だったが、予約していった私達にはちゃんと一人一畳分が確保される。
まだ陽のある河原で本日のビールを。これ、普段なかなか買う機会のない1L缶。1300円也。
9月14日(日)
5:40 薬師沢小屋発 9:20 高天原峠 11:00 高天原温泉 12:00 高天原温泉発 13:00 高天原峠 15:25 雲ノ平(テント泊)
こんなに人がたくさんの中で寝られないよ…と思っていたが、それほどデリケートではなかったらしい。夕食を済ませて横になると次に気が付いたのは、外が明るくなりかけた時間だった。5時出発の計画であったが少し遅れて薬師沢小屋を出る。沢支度をして赤木沢に入る人が多い。私達は、明日。
大東新道で高天原を目指す。黒部川沿いをへつったり梯子での上り下りを繰り返したりしながらB沢出合まで。ザックの重さでバランスが悪く、一般登山道とはいえちょっと嫌な所もあった。B沢出合からは急登に苦労しながら高天原峠に上がる。
高天原峠で重たいザックをデポし、高天原温泉への下りに入る。快晴の元、北アルプスの峰々の展望が広がり、その展望に癒され足取りも軽やかに。
高天原山荘までくれば、温泉まであと一歩。
高天原温泉は沢沿いにいくつかの湯船が点在する。山奥の秘湯のはずが、ひっきりなしに登山者がやってくる。開放的なロケーションのせいか、湯船で仁王立ちになり景観を楽しんでいるような登山者も…。
湯船からの展望、視界には北アルプスの稜線が広がる。
温泉を満喫した後は雲の平へ。チングルマの柔らかな髪が秋風になびく。
前日は小屋泊だったため、荷がほとんど減っていない。「結構遠いなあ…」と思いながら、お天気に励まされつつ歩く。ごろごろの岩が出てくるようになると雲ノ平はもう少し。
やっと小屋が見えたー。ビールが飲めるー。黒部五郎、かっこいいー。と、いろんなこと(ほぼビールのこと)を考えながら景色に見入る図。
本日の無事に乾杯した後、テン場へ移動。一昨年は涸れていた水場は、ざぶざぶと水を吐き出していた。「水場の整備等で費用がかかるので値上げしました」とのテン場利用料改正の前情報あり。100円のアップでこの快適さは助かります。
この日は、I村さん特製ペミカンでカレーを作る(作ってもらう)。ワインを飲み、チーズを食べ、夕景を楽しんでいるうちに出来上がり(^-^)「残ったら翌朝カレーうどんに」と言われていたが、残るはずもなく。
9月15日(月)
6:40 雲ノ平発 8:10 薬師沢小屋 8:40 黒部川本流入渓 10:30 赤木沢出合 13:00 大滝直下 14:40 2350m地点(ビバーク)
この日も天気はまずまず。本当はもっとゆっくりしたいところだが、赤木沢が待っているので急ぎ足で薬師沢小屋へ下る。湿った大きな岩の登山道なので、沢靴で行く。これは正解。滑らず速い!
薬師沢小屋から黒部川本流に入渓。この日の赤木沢遡行者はみんな出発した後の様子。
きれいなエメラルドグリーンにしばしば見とれる。
平水なのだろうけれど、それでも水流はなかなか。深い釜も多い。川幅も広く、スケールの大きさを実感する。
黒部川本流の岩魚留の滝。右岸側に残置スリングがあり、一度はそちらに向かってみたが滑ったら轟々と飛沫を上げる釜に…。ザックを背負っての通過は無理。体勢を整え、過去のレポを確認。左岸側に巻きありとのことで少し戻って渡渉し巻道を探す。しっかりとした踏み跡あり。
正面が黒部川本流の滝、そのわずか手前右側にほぼ直角に出合うのが赤木沢。
ゴルジュのへつり、スラブの滝、階段状の滝、明瞭な巻道。フリクションの効きも良く、怖さを感じる場所はなく遡行を楽しむ。
直登不可のこの滝には左岸に巻道あり。草付トラバースだが踏み跡がしっかりしているのでスリップの危険は少ない。
えっちらおっちら登る。
滝のスケールがいちいちでかい。でも易しく登れる滝が多い。
大滝に到着。奥は切り立った壁。滝下で直角に水流方向が変わる、ちょっと独特の景観。
大滝は2段になっており、上段の滝も存在感がある。左岸の巻道から見下ろす。この巻きは、高度感があり、一か所岩を抱くようにしてトラバースする一歩が怖い。その上部はブッシュになり頼りがいのある木々を掴みながら高巻く。ロープは出さなかったが、使った方が安心だったね、と反省。
遡行自体に時間がかかっているのと、残りの行程の距離、疲労を考慮し、ビバークも検討しながら大滝上初めに右から入る支沢からの詰めとする。ここからは3~5mほどのホールド豊富な滝がいくつかかかる。ただし、ぬめる岩に変わるのでスリップ注意。
2350m地点、沢幅1m程度となった所でビバーク適地を見つけ、14:40そこで行動停止とする。あと250mを詰め、稜線を太郎平→薬師峠への計画は、薬師沢小屋早朝発でなければ私には困難であった。
たくさんの星と、たくさんのワイン、少しのウイスキーで夜が更けた。訝っていたワインの量も、それが適量であったことを知る。
9月16日(火)
7:55 ビバーク地発 9:05 赤木岳下稜線 11:05 太郎平小屋 12:00 太郎平小屋発 14:30 折立着
この日はそれほど長い行程ではないのでゆっくり起きる。
水流がなくなった後は草原の詰め。眼下に薬師沢左俣のゆるやかな流れも見える。できるだけハイマツの藪漕ぎは避けつつ稜線へ向かい、赤木岳から少し北ノ俣岳方面へ下ったあたりで登山道に出る。
あとはひとまず太郎平小屋を目指してひたすら歩く。ガスっていて展望がなかったのは残念だけれど、6~7羽の雷鳥が餌を啄んでいるところに遭遇。
太郎平小屋で、後ろ髪を引かれる思いでいると薬師岳が最後に姿を見せてくれた。
4日間も山に浸っていられる、年に一度のチャンス。全ての日にお天気に恵まれ本当に幸運だった。重いザックで歩く4日間の中には、計画通りにいかない日もあり反省。ただ、「かもしれない」想定はしていたので慌てず日程変更ができた。
様々な場面で相談し合い、アドバイスをくれ、安全な山行を成してくださったI村さん、ありがとうございました。