参加者:I、Y
9/5(土) 晴れのち曇り
金曜から予定していた山行が中止となり、ポッカリ空いた9月最初の週末、かねてから行きたかった万太郎本谷を持ちかけてみるとYさんが乗ってくる。Yさんとは9月の定例山行の担当同士でもあったので、4日の金曜日に尾瀬の小淵沢の下見を行い、そのまま万太郎に突入するという沢三昧の3日間となった。
土樽駅で過ごした一夜が明けると空は曇天、天気が気になるが車で10分ほどの銅像の広場に車を止め吾策新道に向けて歩き出す。関越道をくぐり呉策新道入り口の駐車スペースを過ぎたところで河原に降りるが早すぎたようだ。スリットが入った巨大な堰堤を3つほどやり過ごす。最後の堰堤はスリットが倒木で埋まっているため、右から巻く。
7:30堰堤を過ぎると万太郎本谷の遡行が始まる。日ごろ行っている奥多摩の沢とは水量、沢幅など段違いのスケールで圧倒される。
雪に磨かれ水に侵食された複雑な造形を持つナメ、緑がかった深く澄んだ釜、広がる広葉樹の森、上越の沢を堪能する。
気がつくと晴れてなかなかの沢日和。
遡行図に載っていない滝が多く、その一つ一つがなかなか手強い。暑ければ泳いで取り付きたいところだが、そこまでの気温ではない。極力水につからないようにへつりから滝に取り付き乗り越えてゆく。関越トンネルの換気塔を過ぎ、15分ほど行くとゴルジュになり、オキドウキョのトロを迎える。水は冷たいがここは右岸から左岸に泳いで渡る。ゴルジュに差し込む日差しが美しい。
オキドウキョのトロを通過し1時間後、もうひとつのトロに。予習不足で泳いで突破すべきか巻くべきか悩むことに。腰まで水につかり探りを入れること3分、いったん戻ると震えが止まらない。Yさんが手前の右壁を登り巻き、それを追うと非常に悪い。たまらずロープをもらい、どうにか乗り越えるがその先も明らかに踏み跡はなく、懸垂で沢に下降する。ここだけで1時間半を費やす。
その後もナメや3~4mの滝が次々と現れ、休憩もロクに取らずに歩き続ける。
13:00 本日のメインイベント一ノ滝20mが現れる。イマイチ乗り気ではなさそうなYさんに触るだけでも、といって右壁に取り付く。4mぐらいにハーケンの残置がありランニングを取るがその上には残置は見当たらない。ハーケンを打ち前に進むが、決ったのは1本目だけ。2箇所で試みるがまったくもって決まらない。ヤバイヤバイと思いながらにじり進む。ぬれているところはぬめり、スタンスには泥がのっている。やっとの思いで潅木にランニングを取ったときには15mのランナウト、寿命を削る。Yさんによると途中に残置があったらしいが、登っているときの自分は視野狭窄状態だったらしい。
14:30二ノ滝は右側から簡単に。巻いたわけではないが登ったわけでもないといったところ。
15:00前に右岸に幕営適地を見つけテントを張る。一息ついていると7人ぐらい男女のパーティが藪を掻き分け下から現れる。今日は他に男2組のパーティを見かけ計3組の入渓のようだ。
時間もあるので焚き火を起こすが、前日まで雨が降っており、薪の量も少なかったため火を維持するのが難しい。だらだら酒を飲んで21:00に就寝。
9/6(日) 曇り→雨
高曇りの朝を迎える。谷川らしい天気だ。今日の目標は土合駅13:50発の電車に乗ることであり、ツメに手間取って11:30までに肩の小屋についていなければ茂倉新道での4時間の下山となる。5:00に起床し、6:00出発。
水はいっそう冷たく、余りぬれないように巻き気味に滝を越していく。
7:00遠めに巨大な滝が見える。一瞬三ノ滝かと思い、あんなの登れるわけないと思う。しかし、実際はその手前で左に別れ、2段の滝となっている。下段はYさんリード。水流沿いではなく、ちょっと離れた右側のルートを軽快なクライミング。フォローで登ると残置の3ピン目(?)の後がちょっといやな感じ。
続いて上段をIがリード。水流左を登ろうとするが下部でホールドを探る。これといったものがなく、ヌメりと冷たい水に戦意を失い、右手のルンゼから潅木帯を巻き上がる。
三ノ滝を過ぎると水量もかなり減り、ようやく普通の沢といった感じになる。そして、源頭部に近づくにつれてヌメりもひどくなっていく。登りの斜度もきつくなり、息が乱れるがYさんは涼しい顔で先を行く。右手右手に沢を分け入り、1600mぐらいで水流が枯れるとヌメりもなくなる。最後は、枯れ沢を詰めていくとかなりはっきりした踏み跡が右手に現れ、笹薮の中に追っていくと急に稜線の一般道に飛び出す。晴れていればすばらしい光景が広がるはずだが、ガスに覆われ展望は無し。
5分ほど歩けば肩の小屋に11:00着。9月の上旬とは思えない冷たい風に吹かれながら沢装備を解除し、天神尾根を進む。今日の核心はこの下りらしく、濡れた木道や岩で転ぶこと3回。恐るべし蛇紋岩。
ロープウェイで下山し、土合から土樽へ電車で移動、車を回収して湯沢の山の湯で3日間の沢旅を締めくくった。