2019夏合宿 剱岳八ツ峰上半

2019年の バリエーション組の 夏合宿(と言ってもメンバーはたったの3名ですが…)は夏合宿のメッカともいえる剱岳へ。
八ツ峰縦走はロープ登攀を伴わないクラシックルートとして、同じ剱岳の源次郎尾根や槍ヶ岳の北鎌尾根と同等に考えられていますが、実際には高い総合力の求められるなかなかの難ルートでした。

Ⅵ峰Dフェースの頭付近からの岩石隆々たる八ツ峰縦走路

8月10日(土)
山の日を含む3連休で、且つお盆休みのスタートと重なり、更に天気もしばらく安定するとの予報もあって、入山口の扇沢は前夜から無料駐車場が満車状態。最下段の区画外の空きスペースをどうにか確保。扇沢駅まで歩いてマットとシュラフで仮眠します。(お仲間が20名弱くらいおりました。)6時半始発の電気バスで黒部ダムへ。ダムからいよいよ今日の宿泊地、真砂沢ロッジへの長いアプローチのスタートです。

黒部ダム駅の地下から出ると、青空と立山連峰がお出迎え

初日は真砂沢ロッジまでのアプローチのみですが、標高が低いため、涼しい午前中の内に辛い部分を抜けておきたいと目論んでの始発バスでの入山でしたが、これが功を奏します。旧日電歩道から分かれ、内蔵助平までの歩きにくいアップダウンやハシゴ谷乗越手前まで続く涸れ沢の登りを何とかクリア。12時前にハシゴ谷乗越につき、13時半に真砂沢ロッジまでたどり着きました。普段は静かと思われる真砂沢ロッジですが、夏合宿シーズン真っ盛りだけに、大学の山岳会をはじめとして多くのパーティーがテントを張って賑わっていました。早く着いたのはいいのですが、暑いのには閉口しました。標高も低く、日影が無いのでどうしようもありません。川沿いのためある程度風があるのが救いでした。

真砂沢ロッジ
日差しを遮るものがなく、晴れていると暑いです。

8月11日(日)
いよいよアタック本番です。4時にヘッデンスタートしましたが、他のパーティーも続々出発していきます。まもなく一度雪渓に乗りますが、別山沢出合で一度切れ、大滝を越えて再度雪渓に乗ります。そこから長次郎谷出合まではわずか。いよいよ長次郎谷の雪渓を詰めていきます。

朝の長次郎谷雪渓を登る

長次郎谷の熊ノ岩までは傾斜も緩く、ピッケル無しでもOKです。今日も早出のため涼しく、BC方式で荷が軽いので、雪渓登りがさほど苦になりません。順調に熊ノ岩手前まで到着。雪渓脇の湧水で水を補給して、ⅤⅥのコルへ向けて右岸に取付きます。コルへ直接登るルートはガレが不安定なので、Aフェースの基部から回り込みました。恐ろしいほど順調に6時半過ぎにⅤⅥのコルまで到着。いよいよ八ツ峰上半の縦走開始です。

ⅤⅥのコルへ
正面右のAフェース基部から登ります。さっそくガレ歩きの練習です。

開始早々一体どこを登っていくんだという壁ですが、事前に予習したとおり右側のルンゼを登り詰めていきます。いざ登ってみると見た目よりは易しいですが、いきなりクライミングに近い登りで、特にBフェースの頭に登り詰める手前が悪く、2番目以降はロープを出して登りました。(登りでロープを使ったのはココだけ。)

ⅤⅥのコルからはこのルンゼを登ります。
はじめてだといきなりルートがわからないかも。

最初から随分とクライミングチックだな、と思っていたのですが、さすがは八ツ峰。最後までほとんどがそんな調子でした。標高が高いため草付きが少なく、ほぼすべてが岩稜帯で、アップダウンも多いため、Ⅱ級からⅢ級程度の3点支持を要する登攀が大部分を占めます。平和に歩けるような登山道的な踏み跡はほとんどありません。下りは懸垂支点があるところが多いですが、すべて懸垂していると時間もかかり、次々後続パーティーに抜かれていくので、可能なところはクライムダウンをする見極めが重要になります。我々が懸垂したのは、Ⅵ峰からの下り上段とⅧ峰からの短い下りの2回でした。

Ⅴ峰をバックにⅥ峰のスラブ帯の登り

Ⅵ峰の先のコルからは右に明確な巻き道がついていますが、これはチンネ方面へのルートなので、八ツ峰縦走は一見道とは思えない稜線を忠実に登っていきます。この辺りなかなか豪快で楽しい所です。変化があってルーファイも楽しめます。

Ⅶ峰への稜線
先行Pのいるトラバースに行かず、豪快に稜線通しに進みます。

 Ⅶ峰からは岩の割れ目を通過してコルまで行ったん下り、Ⅷ峰へはルンゼ状のところを登っていきます。所々Ⅲ級程度のポイントがありますが、ロープを出さずにガシガシ登ります。

Ⅷ峰へのルンゼの登り
「ロープを出してもいいかな」くらいの、ほぼクライミングの登りです。

 Ⅷ峰の下りは短い懸垂(クライムダウン不可)で、その先のギャップは八ツ峰ノ頭側の残置ロープを掴んでおいて、思い切って跨いで通過します。ここはなかなか勇気が要ります。最後八ツ峰ノ頭までは難所の無い快適な登攀で終了です。本来の計画ではここから剱岳本峰まで足を延ばす予定でしたが、時間的に余裕もなくなるし、3人ともここまでで十分満足できたので、ここから池ノ谷乗越までおり、長次郎谷右俣雪渓を下降して下山することにしました。ということで八ツ峰ノ頭にで大展望に浸りながらの大休止決定。

Ⅷ峰を懸垂下降する後続P
ここは完全に切れ落ちているのでクライムダウン不可です。
ゴールの八ツ峰ノ頭から剱岳本峰と長次郎ノ頭
時間切れでここから下山に。3人ともここまでで十二分に満腹です。

八ツ峰ノ頭から池ノ谷乗越までは慎重にクライムダウン。乗越のすぐ下から雪渓が始まっていますので、雪渓手前でアイゼン&ピッケルを装着します。長次郎谷右俣雪渓の出だしは45度近い急傾斜の雪渓。滑落は絶対に許されないので、1歩1歩慎重に下ります。幸い雪はそれほど固くないため、ある程度ステップを切ることが出来ましたが、メンバーの1人はインゼル手前でミニスリップするなどし、ここが核心だったと言うほど。雪が消えた側面やインゼルはガレを下ることもできますが、それはそれで脆く崩れやすく、落石を起こしやすいので、これまた決して楽ではありません。

急傾斜の長次郎谷右俣雪渓
慎重に、慎重に下ります。

熊ノ岩付近まで来ると、ようやく斜度も落ち着いてきて、安心して歩けるようになります。熊ノ岩には15張ほどのテントが張られ、Ⅵ峰フェースには多くのクライマーが取付き、雪渓では大学の山岳部が訓練を行うなど、夏の剱岳らしい賑わいを呈しています。思いの外下りの雪渓で消耗した体に鞭を打ち、真砂沢ロッジまでひたすらに足を進めました。真砂沢到着が15:45。既に随分涼しくなっており、助かりました。

多くの人でにぎわう熊ノ岩付近

8月12日(月・祝)
今日は下山オンリーですが、やはり暑さを避けるため早めの行動。荷物をパッキングし、テントを片付けて、4時半に撤収です。時間の経過とともにだんだん暑くはなってきましたが、まだ許容範囲内。順調に歩みを進め、10時前に黒部ダム駅までたどり着き、10時5分のバスに乗車できました。これまた作戦大成功。山は早出が基本ですね。

途中で基部を通り抜ける黒部丸山東壁
いつか登りに来れるだろうか…

全体を通して八ツ峰上半は圧倒的に岩稜帯歩きがそのほとんどを占め、想像以上にレベルの高いバリエーションルートでした。ロープ確保をしての登攀が無いため易しく思いがちですが、しっかりクライミングの練習をしていないと相当苦労すると思われます。Ⅲ級程度の岩場は何の心配もなく登れる登攀力が必要です。クライムダウン技術や懸垂の見極めも重要ですし、急傾斜の雪渓下りもあります。そしてそれを歩き通す体力が必要です。そういった意味で、より総合力の求められるバリエーションルートですし、それだけに経験者にとっても充実感の高いバリエーションルートでした。下半もそうですが、剱岳本峰への登頂もしていないので、また是非再挑戦したいと思います。

また剱岳はアプローチが遠いこともあり、なかなか簡単に訪れることができませんが、夏のこの時期は、一般ルートの登山者は勿論、Ⅵ峰フェースやチンネを目指すクライマーや、源次郎、八ツ峰、北方稜線を辿る人、長次郎谷や平蔵谷から登頂する人、雪訓をする学生など、様々な人々が様々な目的で集まり、それぞれの山行を楽しんでいるところであることが再認識できました。これほど夏合宿にふさわしい場所は無いのではないでしょうか。夏に長期休暇が取れたら是非剱岳へ。お勧めです。

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2019/5/3~5 八甲田で山スキーざんまい

既に時期外れと存じますが、
令和元年のゴールデンウィークは10連休!Y朗とK子夫婦は、八甲田山の酸ヶ湯温泉に2泊して、5月3日から5日まで山スキーを楽しみました。K子より報告。

K子は山スキーがそれほど好きではなかったが、今回の八甲田山でのスキーは本当に楽しく、思わず来年のゴールデンウイークも『酸ヶ湯温泉』予約しちゃいました!

銅像コースを見下ろして

5月2日 9時に東京を出発。
ドライブがてら、一般道を北上して、夜は岩手山付近の道の駅で車中泊。

5月3日 当初は、八幡平の『源太ヶ岳』で山スキー予定だったが、八幡平の樹海ラインは10時まで通行できない。時間がもったいないと、急遽、八甲田酸ヶ湯温泉に向かう。結果的に3日連続八甲田での山スキーとなりました。

1日目は、酸ヶ湯温泉から大岳環状ルートを反時計回りで巡りましたが、ツアー感覚で山を巡るにはなかなか楽しめると思います。

酸ヶ湯の駐車場に車を停めて、準備中。
日焼けに備え、K子顔完全防備です。
酸ヶ湯温泉の裏からスタートです
鳥居が雪に埋もれています。
ルート上には、指導票や竹竿が設置させていて展望が利かなくても安心できそうです。
南八甲田の山もきれいです
地獄湯の沢の雪渓を大岳小岳の鞍部まで
詰めていきます
傾斜はあまりないので、登りも苦でない
硫黄岳と大岳との鞍部のようなところまで来ました。ここまで来ると別世界が広がります。
テンション上がる⤴⤴⤴
危険箇所もなく、天気もよく
ハイキングスキー~
その後、Y朗だけ、大岳と小岳の鞍部から
大岳山頂を目指します。
K子は一人、避難小屋まで進みます。
Y朗 大岳頂上到着!! 
避難小屋方面へ滑り降ります
大岳の大斜面
Y朗シルエットと滑ってきた斜面
明日も、また明後日も大岳に登ったようだ
本当にこの人は山スキーが大好きみたいです
避難小屋まで向かう先には雪庇の壁が・・
K子は、どうやって登るのだろうと不安になる
雪庇を地道にトラバース
風が強くて
避難小屋で休憩します
風が強いので小屋にてシールを剥がし
いよいよ滑る準備をしたはいいが・・
待望の滑りと思いきや
アオモリトドマツの木が邪魔で全然滑れない・・・
やっと待望の斜面です
誰もいない斜面を滑り降ります
少し緩すぎるかもですが・・・
酸ヶ湯に向かって滑っていきます
最後、酸ヶ湯温泉裏の斜面に苦戦中
ここだけ急です
降りてこれた~酸ヶ湯着いた!
さあ、温泉、夕飯、楽しみです
一日目の夕飯
今回の酸ヶ湯は2018年の12月に予約し
ずっと泊まりたかった湯治部トイレ付きの部屋です
夕飯は湯治食を予約したはずが、豪華でした。
「夕飯、豪華に変わったんだね~」「すごいね~」と喜んでいた二人でしたが、支払の時になって
それは旅館食だったからと気づきました
でもこれで1泊2食12,500円は安いと思います
2日目の夕食

酸ヶ湯温泉が好きなのは夕食もさることながら
朝食のバイキングがおいしいから
K子楽しみはスキーより朝食と言っても過言でない
写真はないですが・・

5月4日は 午前は夫婦二人ロープウェイで上がり、銅像コースを滑ります。
そして、Y朗(山スキー馬鹿)だけ、
滑り下りた銅像コースを登り、大岳を登り、酸ヶ湯に戻ってくるというのです。K子からすると、また登り返す・・・???とこの頃からY朗のことを密かに『山スキー馬鹿』と呼んでいました。

ロープウェイの頂上駅
向こうに岩木山が見えます
向こうに見える小山が、前嶽です。

わ~ 滑りたい放題だ~
滑りが楽しくてしょうがない
これが八甲田の楽しさね~

銅像コースに行く人はほとんどそのまま滑り降りていましたが、私たちは、途中にある前嶽へ登ります
正直、K子は登りたくないが、Y朗が絶対登ったほうが良いと言うので、やむなく登ることに
イヤイヤ登っているK子
登り切った~(たかが15分でした)
「令和」にちなんで、「令」ポーズ
「令」に全く見えないですね・・・
「令」ポース№2 
テンションおかしくなってる
山頂からの北斜面を今から滑ります!! 
ウキウキ!!!

前嶽はクレバスが出ているところがあるので
それを避けて安定している斜面を滑りました 

北側に回り込むとヨダレモノの大斜面が広がっていました(これはY朗の感想)

K子は、クレバスから雪崩になるのではないかとヒヤヒヤ でもワクワク

見た目以上に斜度があり、気は抜けません
怖がりながらも、大斜面をカッ飛びます

めちゃくちゃ気持ちいい~
前嶽は登ったほうがいいです
この斜面を滑らないのはもったいない!!
前嶽登らないと、この斜面は滑れないので~す
滑り降りてきました 大満足です!!
あとは樹林を銅像茶屋まで下って行きます

銅像茶屋に到着 K子はスキーは終了
 シャトルバスでロープウェーに戻ります
バスが行ったばかりで、2時間バス待ち
雪中行軍遭難記念像を見に行きました



一方のY朗は、銅像ルートを登り返します
K子は登り返すなんて、信じられないのですが
Y朗は子供のように楽しそうに満面の笑みをうかべ、また山へ向かって行きました
一人となったY朗は、 田茂萢岳を登り、そして昨日も登った大岳をまた登り、
硫黄岳の鞍部を経由し酸ヶ湯に戻ってきました
*Y朗行程詳細は「ヤ〇〇コ」にて報告あり


銅像ルートは前嶽を登らないと本当にもったいないです。前嶽の斜面はそれだけの価値があります。このルートまた滑りたいと思いました!

5月5日は Y朗だけで、大岳環状ルートを初日とは逆回りに登り。
そして、また飽きもせずに、無駄に「大岳」に登り、赤倉岳に登り、箒場岱ルートへ。
下山地点でK子がY朗をピックアップしました。 行程の詳細は「ヤ〇〇コ」で!

Y朗が3日間滑った「大岳」の大斜面
この人ってほんと「山スキー馬鹿だな」と
K子はつくづく思いました

Y朗は今年のGWは山スキーを満喫できたのではないでしょうか?
K子も酸ヶ湯温泉に泊まれて、山スキーも天気に恵まれ楽しくて、GWの八甲田山スキー酸ヶ湯泊を毎年の恒例にしたいと思いました。

おわり


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初の穂高エリア山スキーは苦行・修行系!?

【日程】2019年4月28日(日)~29日(月)テント泊ベースキャンプ方式山スキー
【場所】28日:西穂高沢、29日:前穂高岳
【メンバー】Y(単独)


前穂ダイレクトルンゼ途中から見た明神岳の鋭鋒

 今年のGWは当初職場の引越の関係で山行を諦めていたのですが、引越のない勤務地へ異動となり、晴れて10連休を確保できることになりました。そこで連休前半で北アルプスへ山スキーに、連休後半で家族旅行で東北へ(これも結局3日間とも山スキーをすることになりましたが)行くことに。おかげさまで充実した連休を満喫させていただきました。こちらは連休前半の北アルプス山スキーの記録です。

①西穂高沢
◆行程
5:15沢渡→(シャトルバス)→5:45上高地→6:00~7:10小梨平(テント設営)→7:50シール登行開始→9:05西穂高沢出合→14:00~14:20最高到達地点(2730m)→
15:10 岳沢登山道合流(2010m)→15:25滑降終了点(1760m)→16:25小梨平

◆レポート
 連休初日の27日、季節外れの寒波が到来し、北アルプス全域でかなりの降雪があったと模様。この時期の新雪は雪崩にストップスノー、モナカの元凶なので北アの中でも比較的降雪が少ないと思われた穂高エリアに山スキーとしては初めて行ってみることにしました。
 28日5:15沢渡発のシャトルバスで上高地入りすると、何と上高地も雪化粧。気温も氷点下を下回っており、冬のような光景でした。まずは小梨平で受付を済ませ、テント設営。余計な荷物を置いてスキーをザックに縛り付け、シートラで出発です。こんな寒い朝にも関わらず、10連休とあって河童橋周辺は写真を撮る人を中心に多くの観光客が訪れていました。梓川北側の明神へ至る遊歩道は積雪のため通行止め扱いになっていました。

河童橋から新雪の穂高連峰

 登山道に入ってまもなくすると本格的な雪道になりますが、樹林が密なためシール登行は難しく、しばらくシートラのまま登っていきます。岳沢登山道の看板8番の「前明神沢」を越えて少し進んだところからシール登行に切り換えて沢状のところに入って登っていったのですが、これは失敗でした。藪が幾度も出てきて沢が開けてくるまでかなりの時間と労力を浪費する結果に。岳沢は登山道が沢に出るまではシートラでそのまま進んだ方がはるかに効率的です。

西穂高沢下部の様子
小デブリの上に昨日の新雪が被っています。

 西穂高沢出合からはひたすら沢を詰めていくだけです。地形的には登るにつれて急傾斜となる、稜線上のコルまでほぼ一直線に伸びたシンプルな地形の沢です。気になる積雪ですが、前夜までの雪はすでに落ちるべきものは落ちてしまっている様子で、沢上に柔らかいデブリとなって堆積しています。10~20㎝程度新雪が乗っている状態で、既に重くなりかけて安定してきています。雪崩の危険性は低いですが、滑降時は重雪のストップスノーと化す恐れ大です。(結果として重たいながらもそれなりに滑れました。デブリよりましでした。)

西穂高沢からのぞむ岳沢全景
デブリは天狗沢、コブ沢から発生しています。

 高度を上げていくと岳沢の全景が見渡せます。岳沢はものすごいデブリに埋め尽くされていて、その大半は天狗沢から供給されています。畳岩から落ちてきたものと推測されます。他にコブ沢と扇沢がデブリで埋め尽くされており、これらの沢は全く滑降不可の状況でした。西穂の稜線からは西穂高沢以外にも西穂高前沢や間ノ沢などがありますが、デブリのない面ツルの沢は皆無でした。いずれも急峻な地形ゆえ、降った雪はすぐさま落ちるようで、このエリアは多少のデブリは覚悟しなければならないようです。

登行途中からの前穂・明神
この辺りの斜度は30度強くらいでしょうか。
上部に来ると小デブリが増えてきます。

 西穂高沢に話を戻しますが、南東に面してストレートに伸びるこの沢は朝から日射をモロに受け、遮るものは何一つありません。また西穂稜線が高くそびえ、西からの風を遮ってしまうため、風もほとんどなく、かなり暑い思いをして登行する羽目になりました。久々の本格的な山スキー山行で、この暑さの中の登行はかなり堪えました。水は1100ml持参したのですが不足気味で、テルモスのお湯で雪を溶かして飲むなどして節約しました。そんなこともありタイムリミットとしていた14時には稜線までも辿り着くことが出来ず、約2730m地点で終了。ちょうど西穂山頂からのダイレクトルンゼの合流点でした。そのあたりの傾斜は40度弱くらいありましたが、新雪のおかげですべてシールで登って来れました。やはり当日朝に入山して、テント設営後7時過ぎに登行開始では、今の自分の体力では山頂到達はおろか、稜線上の鞍部までも到着は無理でした。暑さを避ける意味でも、早朝に登行して昼前には滑降開始するくらいのスケジュールが望ましいです。

西穂高沢上部
この辺りになると40度くらいの傾斜になります。

 いよいよ滑降ですが、予想通り前日の降雪が見事に腐って全面重たい雪になっていました。また前述の通り谷の大半は前日の雪のデブリで埋まっていました。デブリは前日の雪のものだけで量も少なく、固まってはいなかったので、滑れなくはないですが、快適からは程遠いものでした。2300m付近からはデブリのない斜面も選べましたが、かなり重たい雪で、上部と比べればマシという程度です。

滑り出しは小デブリに埋め尽くされています。
中間部から下まで来るとデブリのないゾーンが所々現れます。

 登りの教訓から早めに登山道に合流しようと2030m付近で岳沢を横断しましたが、本流のデブリが酷く、これまた相当な苦行でした。1950mあたりで上手く横断箇所を探した方が良さそうです。岳沢登山道沿いは1760m付近まで滑降できます。2000m前後は本流がデブリで滑降できないため、藪っぽい山肌を滑らざるを得ずやや難儀します。
 1760m地点から潔くシートラで小梨平へと帰還です。出発時は軽く感じたシートラ状態での荷が、気のせいかやたらと重く感じられました。下山はアイゼンを着けずに下りましたが、氷結気味の箇所など、登山靴と比べて兼用靴は滑りやすいので用心して歩きました。こうして初の穂高エリアの山スキーはほぼ全行程苦行という結果になりました。

西穂高沢GPS軌跡

②前穂高岳
◆行程
4:20小梨平→5:40シール登行開始(1760m)→7:00岳沢小屋→9:25ダイレクトルンゼ分岐→11:00~11:10前穂高岳山頂→12:00岳沢小屋付近→12:40~12:50滑降終了点(1630m)→13:30~15:45小梨平(休憩・撤収)→16:00~16:20上高地→16:50沢渡

◆レポート
 今日こそは登頂すべく、前日の反省から4:20に小梨平を出ました。すでに明るくヘッデンは不要です。これまた前日の反省で1,760m付近まで登山道をシートラ、そこから奥明神沢下部までシール登行です。

ここからシール登行です。
朝日が稜線を照らし始めました。

 奥明神沢は岳沢小屋付近が出合で、広い出合からゴルジュ状に谷が狭まり、また上部で前穂ダイレクトルンゼなどの分岐がいくつかあって開けていく地形です。西面でかつ南側が岩壁のため朝日が当たらず、昨日と違って寒いくらいで登りは楽ですが、腐れ雪が固まった状態の雪が緩まずにシールの効きが悪く、2480m付近でシートラに移行します。ここから山頂までは重く、長い登り。標高差では600mそこそこを3時間20分かけて登りました。それなりに傾斜のある斜面が延々と続きますが、奥明神沢から前穂ダイレクトルンゼはこの時期のメインルートであるため、しっかりステップがついたトレースが山頂まで続いています。難所と言うほどのところはありませんが、雪の状態によってはどこでも微妙な登行になります。標高差1600m、うちシートラが約半分になるため、体力的にはなかなかしんどかったです。それでも一歩ずつ歩みを進めて11時にどうにか登頂です。

奥明神沢を登る登山者
残雪期は奥明神沢は前穂へのメインルートの為、多くの登山者が行き交います。バックカントリーはごく少数です。
前穂ダイレクトルンゼ分岐
ここでダイレクトルンゼは左、
奥明神のコルは右へと分岐します。

 天候は朝イチはピーカンだったのが、徐々に雲が出てきて、前穂の山頂に着いた時にはガスがかかり始めて雪もちらついてきました。ペットボトルの水も凍ったので裕に氷点下でした。山頂部は大量の雪で大部分が埋まり、山頂標識も隠れてしまっています。既にガスが出始めていて、奥穂の姿も確認できず、かろうじて見えた前穂北尾根がなければ、本当にこれが山頂なのか疑わしいくらいでした。

紀美子平分岐の標識です。山頂まであとわずか。
前穂山頂
右側が北尾根2峰3峰です。

 苦労した登りを終えて、ようやくお楽しみの滑降のハズでしたが、これまた土曜日の降雪のおかげで、前日の西穂高沢以上の過酷な滑降となりました。滑り出しはアイスバーン。しかもオクマタ側は絶壁となっており滑落の危険があるため、失敗が許されない状況なだけに慎重に行かざるを得ません。アイスバーンの難所を過ぎると、今度は弱層の上に重めの積雪。重い雪なので雪崩れる感じはありませんでしたが、傾斜がきついところはスラフとなってずれ落ち、足元ごと持っていかれることもあります。ここも慎重に下らざるを得ません。そして下るにつれ雪の重さが増し、どんどん滑り難くなります。ダイレクトルンゼ後半になってくると明らかなモナカへとなり、奥明神沢上部はハードモナカ&登山者が多い故の踏み荒らされた雪面で全く滑りにならず。ここではほぼターンは断念。横滑りで高度を落とせれば儲けものといった状況でした。

ダイレクトルンゼ上部
弱層の上に重たい新雪。雪崩れませんが、足元から崩れ、滑り難いです。
奥明神沢上部
ハードモナカです。もはやターン不可能。横滑りで高度を落とせればラッキーです。

 2350m付近からようやく左側に荒らされていない重雪の斜面が広がるようになり、岳沢小屋をパスして左側斜面から2100m付近で登山道に出ました。ここまでが今日一の快適な斜面。1980m付近まではデブリを避けるため、左側の斜面を藪を避けるように滑るしかなく難儀しますが、そこからは登山道脇を快適に1760mまで下ることが出来ます。
 昨日の教訓で分かっていたはずなのですが、そのあと登山道に出ないでついそのまま雪渓を下り続けたら見事なほどに藪の餌食に。特に最後に登山道に出る直前は、スキーを履いたままでは藪で抜けられず、スキーを脱げばズボズボと股まで潜って歩くのもままならず、登山道までのほんの数十メートルがものすごくシンドイ思いをしました。
 小梨平帰還後に遅めの昼ご飯を食べるなどちょっと落ち着いてから撤収。上高地に16時でしたが、さすがに10連休だけあってこの時間でもバスが長蛇の列でビックリ。ただひっきりなしに次のバスが来たので、あまり待ち時間なく乗車でき、沢渡まで戻れました。

前穂高岳GPS軌跡

 そんなことで、初めての穂高エリアの山スキーは両日とも修行系のスキーになりましたが、とりあえず前穂の登頂を果たすことが出来、充実感を得て終えることが出来ました。でも次はザラメの時に来てみたいです。

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白馬沢右俣(シーズン最高の充実した日帰りアルパインスキーツアー)

【山行日】2019年5月11日(土)前夜発日帰り
【場所】白馬沢右俣
【メンバー】Oさん(現地集合)、Sさん、Y(投稿者)
【日程】6:15猿倉→7:30白馬尻→11:45~12:00頂上宿舎裏分岐点→(柳又谷滑降)→12:20シール移動開始→13:45ドロップポイント→(白馬沢右俣滑降)→15:00~15:30白馬尻→16:00猿倉

白馬沢右俣源頭を滑る
この斜面を滑ることですべての苦労が報われました。

【レポート】
 今回は白馬岳2号雪渓に行く予定でしたが、出合から確認するとかなりデブリが酷くて急遽予定を変更して白馬沢右俣に行ってきました。(計画書にはサブルートとして記載しておきました。)行程が長くハードなルートではありましたが、天候、雪質等絶好の条件の中、快適な斜面を滑ることが出来、充実した山行になりました。

 SさんとYは前夜に埼玉を出発し、オリンピック道路にあるトイレ付駐車場で仮眠。Oさんは立山ツアーの帰路で現地に直接入り集合することに。仮眠後コンビニに寄って朝のコーヒーを調達しているとちょうどOさんが合流。そこから一緒に猿倉へと向かいました。
 GW10連休の後だけに、猿倉の駐車場はかなり駐車台数に余裕がありました。雪は猿倉駐車場からすぐに着いていて、そのまま大雪渓までつながっていましたので、初っ端からシール登行可能でした。今シーズンは当初少雪でしたが、4月が低温で降雪が多かったため、5月の北アルプスは例年と比べるとかなり積雪が多い状態で、山スキーには最適の条件です。長走沢は割れていたものの上流1つ目の堰堤の上でつながっているため渡渉不要でした。(一度スキーは脱ぐ必要があります。)

白馬尻から見た白馬沢出合
左上部の白い斜面が右俣の源頭部です。

 大雪渓は2号雪渓からのデブリがかなり堆積していて、2号雪渓から下は快適な滑降は望めません。白馬尻上部まで右岸側をややトラバース気味にトレースがついています。

白馬尻上の大雪渓
デブリで埋め尽くされてしまっています。


 「Yさ~ん」2号雪渓出合手前付近で小休止していると上方から声が。なんと同日白馬に来ていた我が会のHさんと偶然遭遇。今日はまだ滑っていなかった大雪渓を滑降予定とのことでした。

出合から見た2号雪渓
大雪渓のデブリの元凶はココでした。
これを見て2号雪渓の滑降は断念。

 出合から2号雪渓を偵察してみると、大雪渓のデブリの源はすべて2号雪渓になっており、かなり上部からデブリで埋め尽くされている状態。この時点で2号雪渓の滑降は諦め、白馬沢に変更するか、大雪渓をそのまま下るか、時間と体力に相談して頂上宿舎付近で決めることにしました。

  3号雪渓の出合を過ぎたあたりから数日前の新雪が残っており、登りではここを選ぶとシールが効きやすくて有効でした。シートラ嫌いのYは頂上宿舎上までシールで登り切りましたが、Oさん、Sさん、Hさんは潔くシートラに。他のスキーヤーも9割の方が途中でシートラに切り換えていました。

2号雪渓出合から上は大雪渓も綺麗な雪面に
急斜面を越え、小雪渓を登り詰めると背後に
杓子・白馬鑓ヶ岳が(水滴で見辛くスミマセン)
あちらも雪はバッチリですね。

 小雪渓を登り詰め、頂上宿舎まで来た時点で11時半。ここで白馬沢に行くか、どうするか相談です。OさんもSさんも体力的な余力はありそう。時間的には14時にドロップポイントまでたどり着けそうなので、問題なし。ということで、白馬沢右俣に挑戦することに決定。頂上宿舎裏の縦走路の分岐点まで登り、柳又谷源頭部へと向かいます。

分岐点からの旭岳
柳又谷源頭へは右へと下っていきます。

 源頭部へは分岐点からすぐ雪が着いていて、ほぼ歩きなしで入れました。さっそくシールを剥がして本日最初の滑降です。滑り出し直後に雪庇状の急斜面を下りるところがありますが、それ以外は緩やかで広々としていて快適そのもの。これぞ源頭部というパラダイスです。雪もフィルムクラストしたザラメが少し融け出した状態で、板が気持ち良く走る最高の条件。いつまでも滑って行きたくなる衝動に駆られてしまいますが、この後三国境を回り込んで小蓮華岳への縦走路に登り返さなければならないので、標高2500mくらいから 右へ右へとトラバースして高度を落とさないようにしていきます。

柳又谷源頭
天国のような斜面がひらすらつづいています。
こんなパラダイスを我々で独占
快感です。

 右に回り込み、枝尾根を越える手前でシールを再装着。しばらく水平移動の後、三国境から雪倉岳へつながる縦走路へ向けて、雪のなるべく繋がっているところを登行。雪が無いところは板を外して、2700m地点で縦走路に出ました。縦走路に出ると、目指すドロップポイントが目の前に見えますが、その斜面は雪なし。縦走路の東側は雪が着いていたため、登り返しを避けようと、縦走路を三国境へと登り詰めずに、ここから谷状のところにトラバース気味に降りて、小蓮華岳への縦走路の鞍部に出ようと試みましたが、谷に降りるところに雪庇が出来ており、弱点から降りてみたものの、トラバースの斜度がきつく、雪も安定していないためスラフとなって足元から崩れていきやすい状態で、デンジャラスでした。(Yは無理やり通過しましたが、Oさん、Sさんは無難に尾根上部からアプローチしました)縦走路に出たらほんのわずかシートラで小蓮華方面に登るといよいよドロップポイントです。

ドロップポイントの様子
背後は小蓮華岳に続く縦走路です。
白馬岳方面もご覧の絶景

 出だしは比較的緩やか(とは言っても30度弱くらい)な源頭の大斜面で、まさにこの斜面を滑るために苦労してアプローチしてきた価値のある最高の斜面。雪質も締まったザラメで申し分なし。滑り降りるにつれて徐々に斜度が増し、幅が狭くなり、雪が重くなってきますが、上半部は至って快適な極上斜面。急傾斜になって一部スラフが流れる箇所がありましたが、比較的雪も安定していて、とめどなくスラフが流れ続けるようなことはありませんでした。ここで別Pの単独スキーヤーと遭遇。ほぼ同じルートで来られたようでした。(先にオイシイ斜面をいただいちゃいました。)

白馬沢右俣源頭部
思い思いに好きなようにお絵かきします。
これまた我々で独占です。
下るにつれて斜度が増し、雪が重くなるので慎重に
(でも核心はこの後でした)

 中間部はデブリゾーンで、ここは正直苦行エリアです。ある程度柔らかいデブリもありますが、どうしようもなく固いものもあるので、滑降する要素はほぼゼロです。スキーの板がデブリに引っかかって転倒したり、デブリに混じった大きな岩に激突したり、事故が起きやすいので、疲れた体に鞭を打ってどうにかかわしました。修行度という意味では本日の核心でした。

魔のデブリゾーン

 下部は広く快適な緩斜面。雪はさすがに重いですが、デブリゾーンと比べると天国のように快適な斜面でした。そのまま白馬尻で大雪渓に合流です。

最後の快適緩斜面
雪は重いものの、デブリと比べれば天国です。

 大雪渓からはラクラク下山かと思いきや、デブリのおかげで右岸まで出なければならず、白馬沢出合からは結構登らないとならない上、またスキーを履いてデブリ横断をしなければならないところもあって、最後の修行でした。
 右岸のトレースまで出てしまえば、長走沢で一部歩きがあったり、少々登り気味の所や枝を踏んだり微妙な雪のつながりの部分はあるものの、猿倉までずっとスキーで降りてこれました。
 10時間近い行動時間の長丁場でしたが、あらゆる要素が凝縮され、充実感・満足度の高い山行で、充分お腹いっぱいになりました。

GPS軌跡
改めて地図で見ると、オイシイ斜面を滑っている距離がいかに短いことか…
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2019/4/20 天理岳バリエーションハイク 新たな出逢い!?

2019/4/20   バリエーション初心者向き地図読みハイキング

参加者:5名(先生はリーダーのY朗とS崎さん、生徒はダブルUと記録係K子)
小鹿野町の尾ノ内渓谷「尾ノ内自然ふれあい館」標高520mから天理岳標高1173mへピストン。
行程は短いが、地図読みとルーファイ、整備されていない道での歩き方の実践。
2週間前、Y朗は下見。メンバーへは事前に地形図と行程確認の指示。

当日は、もったいないくらいの晴天に恵まれた。



スタートの「尾ノ内自然ふれあい館」は梅に桜に新緑がとてもきれいなのに、氷柱(秩父三大氷柱)の時期でないから人はいない。すごい良い所なのにもったいない。帰りに売店のおじちゃんに秩父名物「たらし焼き」をいただいた。

8時30分出発 生徒3人が交互に地図読み、ルーファイのため先頭を歩く。
S崎さんからコンパスの使い方を教えてもらう。
このルートは、途中からやせ尾根を登るので、特に登りは迷うことはないが、適宜、止まってはコンパスを用いて、進む方向をチェックする練習をした。

ここはまだ広めの尾根 傾斜はけっこうある
トラロープに頼るダメなK子

11時天理岳到着 対面には両神山が見える。


下り、けっこうな傾斜で、こわい。
ヤセ尾根だし、急だし、へっぴり腰なK子
鉄塔まで降りてきました。
向こうに見えるのは二子山です。

しゃくなげ園がありました。


歩きは短かったですが、K子にとっては久しぶりの山歩きに、花も見れて大満足でした。で終わればよかったのですが・・

今回、初めて「あの虫」に遭遇しました。


マダニです。

帰りの車で、Y朗が手を差し出し、「これ何だろう~」と。
K子「これマダニだよ。頭刺さってる。皮膚科でとってもらわないとダメだよ~。死ぬ場合もあるんだよ~」と大パニック。
Y朗「大丈夫だよ。後で取るよ。ピンセットあるから」と冷静。

大宮駅で同乗者を下ろした際に、Y朗、慎重にピンセットでマダニを引っこ抜いた。
まだ刺したばかりなのか、頭がちぎれることなく、すっぽりマダニが離れた。
その後、K子はポイズンリムーバーを持っていたので、毒?があるかわからないが、そのあたりを吸引。傷口は蚊に刺された程度だった。
冷めているY朗に対し、Kはなんかショックを受け、その後、食欲がなくなった。

今、この山行レポートを書いている横にY朗がいるが、痒いわけでもなく、発熱など特に症状はでていない。この後、何でもなく済んでほしい。

K子初めてマダニを見た。
きっと何でもなく済めば、Y朗はマダニのことはすっかり忘れて、またバリエーションなど道なき道を進んでいくだろう~。やめてと言っても聞かないと思うので、せめてピンセット持って山に行ってほしいとお願いしたい。

今年は「アオバト」や今回の「マダニ」との出逢いなど、初めての出逢いが続いた。
次あたり「熊」か「ツチノコ」と逢うのかな~と思うK子でした。

終わり

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2019/1/13  戸倉三山周回 アオバトとの出逢い

2019/1/13 Y朗、K子   奥多摩の戸倉三山でハイキングをしました。
報告者K子

今回、人の少ない地味目のコースだからか「アオバト」を見ることができました。
もしかして、皆は普通に見てる鳥なのか?! だったら珍しくもないのにごめんなさい。でも、私たちは初めて見て、少し感動したのでレポートしました。

ヤマバトの話だけだと、すぐ終わってしまうので、このハイキングに至る経緯を少しお話すると。
Y朗はこの3連休、本当は「北岳」に登山に行く予定でした。年末に仙丈ヶ岳に行って、鼻が凍傷になり、Y朗はやむなく北岳は断念。その代わりの山行でした。

Y朗は受傷当初、「大丈夫だよ、鼻先だけだから、北岳は大丈夫だよ!」と北岳に行きたくて行きたくてしょうがない。
K子は行きたい気持ちがわかるのですが、さらに悪化する可能性も考えると、行ってほししくない・・。
「医者に見てもらって、行くか判断して」というK子の指示のもと、医者からも北岳登山は勧められないと言われ、Y朗はやむなく北岳登山を諦めました。

限られた人生、限られた時機を考えると登りたい山に登ってもらい楽しんでもらいたい。
目的に向かい、達成してこそ幸せなら、多少のことはしょうがないのではないか・・。
軽度の凍傷に過ぎないのですが、K子は話をでかく考えたりしました(笑)。
*北岳に同行予定だったH口さん、結果的に山行中止になってしまい、申し訳ありませんでした(Y朗)。

 

北岳が中止になったので、夫婦でハイキングに行こうということになりました。
K子は、いつもなら楽ちんな山を選ぶのですが、今回は、少しでも長く歩きたいであろうY朗のために、ロングコースを選びました。
そんなこんなで山の眺望とかは考慮せず、ロングコースであること、凍傷がさらに悪化しない低山であることを目的に戸倉三山所要8時間の非常に地味なコースを歩くことにしました。

戸倉三山へは五日市の「広徳寺」の駐車場に車を置き、7時半スタート。
今熊山~戸倉三山(刈寄山は往復50分かかるので行かず、市道山、臼杵山)、そして城山を経て、広徳寺に16時15分に戻りました。出会ったのは4組ぐらいでした。

今熊山頂上にある今熊神社本殿

 

 

 

 

 

あきるの市エリアは大抵のピークに『まき道』がついてて楽勝!とこの時は思っていたが・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八王子市エリアに入ってからは、まき道がなくなり、大小ピークをほぼすべて登り下りしなければならず、本当に本当に疲れました。なお、ここは、通称「ハセツネ」というトレランの有名なコースにもなっているらしいです。

そんななか、山のなかに鳩がいるのを発見。
あれ、でもこの鳩、緑色してる。しかもとてもきれい。

1羽目のアオバト

 

 

 

 

 

 

 

最初は、誰かに色を塗られたかわいそうな鳩が人間を避けるべく山の中に住んでるのね
と思っていました。だから、私たちが近づくと、飛べないのですが、逃げていく。
雷鳥を見つけた時の感じです。

そして歩いていると、前を進むY朗から、もう一羽飛んできたとの声。
アオバトはすぐ前に飛び降りて、道を案内するようでした。

2羽目のアオバト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは本当にアオバトなのでしょうか? 違ってたらすみません。
違っていても、初めてみたきれいな鳥で、私たちの心がほっこりと幸せな気持ちになりました。

 

 

 

ここはゆるいピークでしたが、この先、何個も何個もピークを登り下りする。

 

 

 

 

市道山頂上11時30分到着
ほぼ中間点ですが、既にへろへろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

臼杵山を経て、展望が開けた場所が現われる。

 

 

K子しんどくて、なかなか前に足が出ない。

 

 

 

 

 

 

 

最後の山「城山」より
五日市の街を見下ろして

 

 

 

 

 

 

 

 

城山からの下りは急で、かつ、広徳寺までの道のりも遠く、K子は本当にしんどい山行でした。

 

 

 

 

でも、今回、夫婦ともども、ここを選んでよかったと思いました。
そう思わせてくれたのは、アオバトさんのおかげかも。
童話「青い鳥」の話ではないですが、アオバトさんと思ったのは、ただの鳩で青い鳥に変わったのかもしれません。
北岳だの、もっとすごい山に登れた達成感たるや半端ないことも想像できますが、
どんな山であろうが、歩けているということ自体が幸福なのだろうと、そんなことをアオバトさんは気付かせてくれたのかもしれませんね。
無理やり童話とこじつけていますが!!!

おわり

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2018/7/20-22 葛根田川北ノ又沢

今年はあっという間に梅雨が明け、夏が来るのが早い。沢の足慣らしもそこそこに、かねてから行きたかった岩手の沢に。

準備不足気味ながら前日の夜から東北道を一路北へ。仙台のあたりで仮眠をとり、20日の朝に盛岡へ降りる。小岩井農場をかすめて湯之上温泉の駐車場に車を止める。新しくきれいなトイレがあり、身を軽くする。

道沿いに進むと、物々しい地熱発電所の脇を抜け、立ち入り禁止のゲート。右側に歩行者なら通過できるようになっているので、そのまま立ち入らせてもらう。パイプ沿いに進んでいくと河原沿いで舗装が途切れ、川のほうに降りていく踏み跡をたどる。

堰堤を超えて、しばらくはゴーロの河原歩きだが、やがてナメ交じりに。水量多く、赤木沢へのアプローチの奥の廊下を思い出す。

のっけからナメ

明通沢の出会いはナメ滝に。ドクロ滝などと呼ばれているらしい。ナウシカの巨神兵をちょっと思い出す。

気が付くとお函といわれるゴルジュ。明るく全くゴルジュっぽくない。フリクションがよく効き、どちらの岸を進むか間違えなければ、難しくはない。

素晴らしい景色を楽しんで歩く。

1日目は滝も難しいものはなく、ロープの出番は無し。14時過ぎに滝ノ又沢出合で幕を貼る。今シーズンほとんど使われていないらしく、巨大な雑草に覆われていて、テン場を探すのに手間取る。

深いブナの森

2日目、のんびり8時に出発。昨日と同じような感じで、大した滝もないだろうなどと高を括っていたらすぐに痛い目に。

大白森の湿原を目指し右俣に入るとすぐの15ⅿの滝。巻きがわからず、50ⅿほど戻った尾根に取り付くが、すぐに踏み跡はなくなり木につかまりながら急登を藪漕ぎで登るがあまりに滝から離れているので断念。2時間ほど時間を無駄にして、滝の左脇に取り付く。滝の半分ほどまでランニングが取れず、いやな感じ。

滝の左を

次の5ⅿも左から巻くが、もろい岩登りがあり、ちょっと怖い。懸垂もあり、2つの滝を超すのに4時間を使う。

右の木はツルツル。左を巻き、短い懸垂

しばらくは滝場もなく、走る魚を追って歩く。魚影が濃く、釣りがしたくなる沢である。ただ、ここらへんで熊が倒木にじゃれついているのを見かけたので、鈴があったほうがいい。

終盤の滝場は、直登できるが1カ所イやなところがあった。

左手を登ったが・・・

源頭部はネマガリタケの藪。かなり沢が続くが、沢の上に張り出して来てうるさい。時間がとられるうえに、藪が濃く、どこに湿原があるのか全く分からない。地図上ではもう湿原が終わるくらいで、意を決して藪に突っ込むと以外とあっさり湿原の端っこに出る。

時間は16時。このまま湿原で幕を張ってしまおうかと思いつつ、明通沢支沢への下降路を探ると意外とあっさりわかり、しかもこちらはそれほど藪が濃くない。これならいけるかと急いで沢下降。何度か滝で懸垂を交え、18時に明通沢の本流出合まで下り、幕を張る。

3日目は、テン場から2時間も沢を下れば登山道に出てしまい、地熱発電所まで1時間余り。ちょっと物足りないが、網張温泉に立ち寄り、埼玉までの長い道のりを車を走らせるには、ちょうど良かった。

よく見ればサンショウウオ

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2018/7/14~23 スイス③(マッターホルン ヘルンリ小屋編)

2018年7月 K子 スイスへ一人旅。
ツエルマット「マッターホルンのヘルンリ小屋まで歩く編」です。

この旅の一番の目的はマッターホルンを見ること。
旦那様がいつかマッターホルンを登るときのために、下見をすることが目的でした。

マッターホルンの朝焼け

 

 

 

 

 

 

 

7月18日 ミューレンでのハイキングを終え、ツエルマットへ。
駅から数分の「ホテルサラズィナ」に着いたのは20時近くだった。
着いて天気をチェック。ツエルマットの町のホームページの天気予報はかなり正確。明日が一番よく、明後日の午後から崩れる予報。

 

7月19日 予定を変更して、今日ヘルンリ小屋までハイキングに行くことにする。
ツエルマットの町から見たマッターホルンは、正直、北アルプスの槍ヶ岳程度ね!って思っていました。でも、近づくに連れ、存在感が・・。

ツエルマットの町からのマッターホルン

 

 

 

 

 

ゴンドラでシュバルツゼーまで上がります
黄色は今日泊まるホテル

 

 

 

 

 

 

 

シュバルツゼー(標高2583m)まで上がってきました。
10時出発。ヘルンリ小屋(標高3260m)まで標高差約700m、行程2時間半の道のり。整備された道が続き、日本で言うと室堂から立山の雄山に行くより楽チン!

ロープウェイの到着地点シュバルツゼー

 

 

 

 

マッターホルンを登ってきたクライマーとすれ違う

 

 

 

 

 

 

 

 

少し崖沿いの道も歩きます

 

 

 

 

 

 

マッターホルンが近づく

 

 

 

 

 

 

 

 

マッターホルンに向かう道が凄すぎて、体が震えた。人間って、感動するとおのずと体が震えるんだと思いました。
マッターホルンは槍どころの存在感ではなく、その300倍もの圧力で迫ってくる感じだった。いやいや、世界の山はすごいな~と、終始感動しっぱなし。

矢印のところがヘルンリ小屋です。

 

 

 

 

 

 

 

ここまで、ほぼ平らでしたが、これからヘルンリ小屋まで急な登りとなります。
でも、K子はアドレナリン出まくりだから、ハイテンションで全く疲れない。
人間楽しいと自然と足が前にでることを久々に体感!!!楽しすぎる~!!!

結構バテてる人もいる。かなり歩きやすいのに

 

 

 

 

 

 

ガレ場の登り

 

 

 

 

 

 

 

12時半頃、ヘルンリ小屋到着!

ヘルンリ小屋到着

 

 

 

 

 

小屋前の様子 翌日に備えるクライマーとハイカーが混在

 

 

 

 

 

 

登り終えたクライマーが休憩中

 

 

 

 

 

 

 

 

旦那様のマッターホルン登山のために、取付きに偵察に行きます。
ちなみにマッターホルンの標高は4478m。頂上まで標高差1300m。

取付きに向かうクライマーの後に

 

 

 

 

 

矢印が取付きです

 

 

 

 

 

 

 

取付き前で

 

 

取付き前でクライマーに写真をとってもらいました。
クライマーに、
「私の夫はクライマーだ、マッターホルンに登る予定なので、装備や登っている様子を写真にとってもいいですか?」と少し馬鹿みたいなことを言ったら、

「いいですよ」。
「あなたの写真も撮ってあげましょう」と登る前にも関わらず写真をとってもらいました。
既にお昼過ぎなので、練習に登るだけとは思いますが、登る前に余裕ありすぎなんです。

 

 

 

クライマーの登っている様子をずっと見ていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

簡単に登っていく

 

 

 

 

 

 

 

そして、記念に自分も一手だけ・・・。一手にもなってないが・・。

ほんとうに一手だけ。

 

 

 

 

 

 

 

ここまで来ての感想
・ヘルンリ小屋は山小屋ではなく、ほぼホテル。
・すれ違うクライマーの数が多い。日に何人がマッターホルンに登るのだろうと思った。
・クライマーのザックが小さい。恐らく、最低限の装備しか持たないのだろう。
思わず、旦那様にちょうどよい大きさのザックを土産に買った。
・この取付きから先はクライマーの世界ですが、勢いで登って行けそうな気がした。
クライミング嫌いなくせに、自分も登ってみたい気持ちになった(この一瞬だけね)。
マッターホルンは「魔の山」と呼ばれるだけあって、吸い込まれるような魅力を持った山だった。
そして、旦那様はどう思っているかわからないが、何よりも旦那様にマッターホルンをぜひ登ってもらいたいと心から思った。

マッターホルンはやっぱりすごい

 

 

 

 

 

 

 

今夜の宿は、シュバルツゼーにあるホテルです。
私はこの宿だけはケチってドミトリーにしていた。泊まる人自体少ないだろうし、相部屋に泊まる人なんていないだろうと高をくくっていた。

受付で「今日は、男性一人と二人で使ってください」と言われ、少し緊張。
部屋には、憔悴しきった男性が寝ていた。私に気付くや起き上がり、挨拶された。イタリア人とのこと。
ロープ等クライミングの装備が干してあったので、「マッターホルンに登ってきたのですか?」と聞いたら
「今日登ったが、天気が荒れて、断念した」、「雪がひどくて、ダメでした」と残念そうに話していた。
地上から見たマッターホルンは、頂上に少し雲がかかっていただけだった。その程度でも登れないんだと思った。
その後も数分話していたが、説明されている場所も英語もわからず、うなづくだけになってしまった(貴重な情報なのに、理解できず、もったいなかった)。

なお、相部屋であることはそんなに問題ないが、ここのドミトリーは半地下にあるので暗いのがマイナス、でも、タオルもシャンプーとかも付いてるし、基本はホテルです。

ドミトリー 地下にありオススメしない

 

 

 

 

 

 

 

夕食はホテルの料金に含まれていた。サラダ、スープ、メインはチキン、デザートとボリュームあるんですが、またまたおいしくて、ペロッと食べてしまった。
焼いただけのチキンなんだけど、香草と塩加減が絶妙でビールが進んだ。

このレストランのお姉さんがいい人だった!

 

 

 

 

 

 

 

そして、何といっても、このホテルの売りは景色がすばらしいことです。
7月20日 朝がやってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュバルツゼーのホテルとマッターホルン

 

 

 

 

 

 

 

散歩がてら、シュバルツゼー湖まで歩いてみた。

逆さダンブランシェ

 

 

 

 

 

 

 

上の写真に写る真ん中の建物は教会です。
マッターホルンを登ってきた人が、伝説に由来して、お礼に訪れる教会とのこと。
”昔、マッターホルンを登った村人が吹雪にあい、進む道がわからなくなった時にマリア様の導きにより無事に帰って来れた”という伝説を受けて建てられた教会。
今でも、登頂後のクライマーが、お礼にお参りするらしいです。
私は、「旦那様がいつしかマッターホルンに無事に登れますように」と拝んできました。
そして、今でもマリア様が登山者を導いてくれているみたいです。

教会内部の絵

 

マリア様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はこれからツムットを経由して、ツエルマットに戻ります。長い下山でした。

長くて暑い下山

 

 

 

 

 

 

 

今日の宿は、先日と同じ「ホテルサラズィナ」です。私が事前にメールで切望したからか4階にあるツインのマッターホルンビューの部屋にグレードアップしてくれました(このホテルも全てにおいてgood!)。
午後から天気予報どおり雨がぱらつき、マッターホルンは顔を出すことがありませんでした。でも、既にK子は大大大満足。

7月21日
小雨が振ったり止んだり。もう山は満喫したので、山用品を見て回りました。ザックを二つも買ってしまいました。そして、午後にはチューリッヒへ。

7月22日
空港へ出発する11時までチューリッヒを散策しました。
13時チューリッヒ空港を飛び立ち、翌23日朝、成田に帰ってきました。猛暑でした。

チューリッヒの街並み

 

 

 

 

 

 

 

初めてのスイス旅。
山も人も食べ物もすべてにおいて大満足。想定以上にすばらしかった。
スイスにはまた行くと思います。
スイスの山の良さを経験する一方で、「日本の山も捨てたもんではないなあ」と日本の山の良さも顧みる旅となりました。

いろいろご教示いただきました皆様と旅に出させてくれた旦那様に心から感謝します。
ありがとうございました。

ほんとうにおわり

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2018/7/14~23 スイス②(ミューレン編)

2018年7月 K子  スイス「ミューレン周辺を歩く編」です。

ビルクから下山中の三山

 

 

 

 

 

 

 

7月16日はグリンデルワルトから「ラウターブルンネン」へ移動。
ラウターブルンネンは氷河に削られたU字谷の底にある小さな村。落差300mのシュタウバッハの滝が有名。

今日の宿は「valley hostel」。
高山病の影響なのかだるい。でも、自炊に洗濯をしなければならず、しんどい・・。

ラウターブルンネンの村です。  右に滝が見えます

 

 

 

 

 

 

 

7月17日
今日はこの旅で、ど~しても行きたかった「ロープホルンヒュッテ」へハイキングです。
ラウターブルンネン駅から8時40分発のバスで「イーゼンフル」(標高1080m)という村に向かいます。
イーゼンフルから、ロープホルンヒュッテへの道のりの写真は下記。
昨日に続き体がだるいので、周遊はやめて、ピストンに変更しました。

黄★は、イーゼンフル
ピンク★は、ズルワルト
赤★がロープホルンヒュッテ

 

 

 

 

 

 

 

 

イーゼンフルから「ズルワルト」まで、村人が運営する小さな、レトロなロープウェイに乗ります。乗客は私一人。大丈夫?このロープウェイと思いつつ、アナログ感が楽しい!

乗客がいたら動かしてくれるシステム?

 

 

 

 

 

だんだん上がっていきます

 

 

 

 

 

 

 

ズルワルト(標高1530m)に数分で到着。誰もいない。牧歌的なスイスらしい所。

これから向かう道

 

 

 

 

 

 

 

40分ほど樹林を登ります。雰囲気が八ヶ岳に似ています。

樹林帯を40分程歩きます。

遠くに「ロープヘルナー」が見えだす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹林を抜けると、小川の流れに沿って登ります。

こういう道なんだ~

 

 

 

 

 

 

 

丘程度の山を登ると、広々とした景色が広がりました。
下の写真の中央にあるノコギリの歯のような山は、ロープヘルナー。
本当はこの山の近くまで周遊する予定でした。

中央にある山の拡大版は下に

 

 

 

 

 

のこぎりの山がロープヘルナー  岩に登れるらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反対側に目を向けるとロープホルンヒュッテ(標高1995m)、10時半到着。

雲が多いのが残念・・

 

 

 

 

 

 

 

ロープホルンヒュッテは、アイガー、メンヒ、ユングフラウの三山が真正面に見える穴場の展望地なのですが、今日は雲が多くて見えません。見たかった~。
ここは観光客がほぼ来ないから静かです。小屋で1時間程お茶しました。

山が見えない・・・

 

 

 

 

 

山が見えない・・

 

 

 

 

 

 

 

ズルスゼーという山上湖を周遊します。
この周りにもお花がいっぱい咲いてました。

魚釣りをしている人もいました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰りは同じ道を戻り、13時過ぎのバスでラウターブルンネンに戻りました。

今回のスイスの旅で、唯一の心残りはこの周遊コースを歩けなかったことです。
また絶対ここに来たいと思います。
次回はロープヘルナーまで縦走して、ロープホルンヒュッテに泊まります!

午後からは、本日宿泊の「ミューレン」に向かいます。
ミューレンはU字谷の上の台地にあるところです。ラウターブルンネンからロープウエイと電車でたどり着きます。

 

7月18日 部屋からの景色は三山ビュー。

宿の部屋から見えた三山と朝陽

 

 

 

 

 

 

 

今日は、ツエルマットへの移動日。
すでに歩きは満足して、今日は軽く流そうと、シルトホルン展望台(標高2970m)にロープウェイで行くことにした。往復チケット購入。
シルトホルンに行くには、途中ビルクという駅でロープウェイを乗り換えます。
なお、ユングフラウの展望台より、こっちの展望台の景色のほうが断然よかった。

1:シルトホルン 2:中継駅ビルク

 

 

 

 

 

黄色がビルク、赤がシルトホルン  三山がバックに

 

 

 

 

 

 

 

シルトホルンからいろいろ縦走できる 歩きたい~

 

 

 

 

 

 

 

 

11時、中継駅ビルクまで戻る。
ここには「スリルウォーク」という崖につけられた道があり、下が見えて、べたに怖い。
でも、三山を真正面に見る絶景ウォークです。でも午前は逆光ぎみで・・。

足元透けてるほうは、恐くて歩けず

後ろの大人がびびってた K子それ見てやるの断念。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左からアイガー、メンヒ、ユングフラウ

 

逆光ですが ビルクからの三山

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この景色を見てたら、無性に歩きたくなった。
ビルクからの下りのチケットは捨てて、ミューレンまで3時間歩くことにした。
この道は、進むに連れて三山が顔を出し、花も多く、歩いて大正解!

歩き出し、まだ三山はすべて見えません

 

 

 

 

 

 

 

花が多い~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはチングルマ??

 

 

 

 

 

 

 

 

オールスターが顔をだす

 

 

 

 

 

 

 

歩いてきた道を振り返る  矢印がビルク駅

 

 

 

 

 

 

 

三山を見ながら下る 全然人に会わない

 

 

 

 

 

 

青い花が普通に咲いてる~

 

 

 

 

 

 

 

 

ミューレンまでもうすぐです

 

 

 

 

 

 

 

同じような三山の写真ばかりを載せてすみません。
実際に歩いていると三山は見飽きなくて、死ぬほど写真を撮りました。

15時過ぎ、宿に戻り、これから約4時間かけてツエルマットへ向かいます。
続きは、ツエルマットというより「マッターホルン ヘルンリ小屋まで歩く編」です。

 

<山には関係ない情報ですが・・>
・全ての昼と、一日置きの夕食は、日本から持参したフリーズドライの米とスーパーでサラダとビールと果物を購入して済ませました。スイスの外食は高いのです。
・ケチるところはケチりましたが、スイス国鉄は1等に乗りました。スイス国鉄のアプリで割安切符を予約。2等車両でも十分立派ですが、1等をオススメします。
・宿もマウンテンビューに拘る。部屋から景色を見る時間はあまりなかったが。
・夕食は1日置きにホテルの夕食付にしました。夕食付は割安のようです。
「ホテルセントラルヴォルター・グリンデルワルト」の夕食は3000円程で前菜、スープ、メイン、デザート付き(写真下)。特にステーキは固いと予想していましたが、柔らかくておいしかった。どれも大味ではなく繊細、日本人好みです。

まぐろタルタル

ブロッコリスープ

柔らかいステーキ

チョコムース

 

 

 

 

 

 

「ホテルアルペンブリックミューレン」では、ボリュームがあってデザート残しました。ビール飲むと食べれないと思いつつ・・ビールを頼んだからだと思います。
何よりこの宿の朝食うまかった。特にパン最高! この宿はオーナーも最高!

大麦のスープ

鹿肉のソーセージ

食べきれなかった

 

 

 

 

 

 

何を言いたいのかというと、
今回の旅では、毎日それなりの距離を歩いて結構疲れましたが、スイスの食事に助けられた気がします。
朝食のパン、チーズ、ハムはやはり日本で食べるのと何かが違う、おいしい。
またスープも、野菜が煮込まれてて、そのうま味が絶妙でした。山小屋のスープ食べ比べをする人も多いとか。素朴な料理ほど素材が生きてることを実感しました。

小さい頃、「アルプスの少女ハイジ」を見て、パンとチーズしか食べてなくて、かわいそうと思っていましたが、今思うと、なんて贅沢な食事なんだろうと思います。

いつものことながら、山に関係ない話が長くてすみませんでした。
おわり

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2018/7/14~23 スイス①(グリンデルワルト編)

2018年7月 K子 スイスへ一人旅、山を歩いてきました。

写真という限られた範囲では、山の雄大さ・圧倒する存在感、山が生きている感じは伝わらないと思います。なので、ぜひスイスに行って体感して下さい!

 

グリンデルワルト編

アイガー北壁

 

 

 

 

 

 

 

7月14日(土)
成田空港を出発し、直行便でチューリッヒ空港15時半到着。
電車4本乗り継ぎ、グリンデルワルト19時半到着。
到着時、雨。グリンデルワルトの天気をネットで調べると、これから毎日雨。
私はスイスの青空を見ないで終えるのか・・と悲しい気持ちになる。

 

7月15日(日)
時差の順応ができず、眠れなかった。相変わらず天気予報は雨。
でもアイガーの向こうに晴れ間が見える。「今日晴れるんじゃね~」と思いながら、
グリンデルワルト日本語観光案内所に行程の相談に行く。

宿は部屋からアイガーが見える好立地

 

 

 

 

 

 

今日は明日より天気のもちがよいと言われ、行程長めの「グロッセシャイデック」から「ブスアルプ」の縦走に変えた。
グリンデルワルト駅(標高1034m)8時40分発のバスで、グロッセシャイデック(標高1962m)に到着。
シャイデックは峠、グロッセは大きいという意味で「大きいと峠」という場所。

歩き出しから花が

 

 

 

 

 

 

歩き出していきなり牛の群れに遭遇する。
牛の首につけられたカウベルの音が、静まり返った山にこだまする。
音色が心地よくスイスにいることを実感する。
この先、ほぼ平らな縦走路を進む。

牝牛はおとなしいとのこと

 

 

 

 

グリンデルワルトの谷を挟んでアイガーを臨む

 

 

 

 

 

 

 

グロッセシャイデックからフィルストまで花が素晴らしいという情報。
いろんな花が咲いていた。

高山植物というよりは牧草地の花です。

 

 

 

 

先に小さく見えるのがフィルストです。

 

 

 

 

 

日本では見ない水色や青の花が咲く。

 

 

 

 

 

花が青いんですよ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間を気にせずにゆっくり山を見ていたくなります。

お気に入りショット!

 

 

 

 

 

 

 

フィルスト(標高2160m)を過ぎ、バッハアルゼーという山上湖に12時半到着。
フリーズドライのお米にお湯を注ぎ、節約ランチ。ほぼ毎日節約ランチ。

バッハアルプゼー 白馬八方池みたいだ

 

 

 

 

 

 

13時ファウルホルンに向け出発、雨がぱらつく。
ファウルホルンは諦め、予定とは違う道で、ブスアルプを目指すことにした。
下の写真で黄色線の道を歩きます。

黄色の線の道を歩きます。

 

 

 

 

 

 

 

この道は日本のガイドブックでは、あまり紹介されてませんが、今までの平らな道と比べ山登りの要素が多く、アイガーを間近に眺められます。
そして、一日限りのgoodパートナー!との大切な思い出が出来ました。

山の中腹を巻いていきます

 

 

 

 

 

 

途中、道を見失う。
そこに単独行の女性がいたので、「ブスアルプに行きたい」と言ったら、スマホで道を調べてくれた。山の上に登っていくようだ。
女性は韓国の方らしい。この方も同じ方向に行くというが目的地は違っていた。

韓国の方が登っていく。

 

 

 

 

登り切ると・・反対側に

 

 

 

 

 

 

 

稜線まで登り切るとアイガーが間近に飛び込んできた。

疲れが一気に吹っ飛ぶ!

 

 

 

 

 

 

 

韓国の方は道を間違えていたようで、私と同じブスアルプに変更するとのこと。
「じゃあ16時40分のバスに乗りましょう」と、片言の英語で話しかけながら、付かず、離れずの距離で進む。

二人でブスアルプを目指す

 

 

 

 

 

気持ちよい道です。

 

 

 

 

山の裏側にやってきました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスの出発まであと15分。まだバス停は遠い。
韓国の方が「バスが見える~」と坂道を上がってくるバスを発見。
私は「もう間に合わないよ、ラストバスが1時間後にあるからそれに乗ればいいよ」と言ったもののスピードを増し、二人、発車1分前にバスに乗り込んだ。

息を切らしつつ「You are nice partner , thank you ! 」と自然と言葉がでた。
上手に話せなくても、山を通じて気持ちも繋がるんだと思い、彼女と歩いたこの道は大切な思い出となりました。

そして、ブスアルプ(標高1823m)から30分ほどバスに乗り、グリンデルワルトに戻ります。彼女はインターラーケンに泊まるというので、握手をしてさよならした。

この日は時差ボケにも関わらず、20kmも歩いてしまった。
初日から大満足。部屋でアイガーを眺めながらビールを飲み干した。

スイスと「良きパートナー」にかんぱ~い!

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにこの後、土砂降り。

 

7月16日(月)
昨日に続き、時差を調整できず、眠れなかった。
窓を開けたら、朝日が差し込むアイガーが見えた。
昨日の雨が水蒸気を飲み込んだのか、無風快晴、絶好の登山日和。
ユングフラウヨッホの展望台に行くことにする。

写真だと赤焼け写りませんね~

 

 

 

 

 

 

 

8時40分発の電車に乗り込む。スイスの駅には原則、改札はありません。
但し、電車内に検札官が切符をチェックにきます。

グリンデルワルト駅 小さいです

 

 

 

 

 

 

電車は急勾配をゆっくり進む。
メンヒ、ユングフラウが徐々に顔を見せる(実際どれがその山かわからない)。

ひゃーきれい。

 

 

 

 

 

 

 

クライネシャイデック(標高2061m)に到着。
ここは360度山に囲まれた場所で本当にすばらしいのですが、写真で伝えきれず。
ここから「ユングフラウ鉄道」に乗り、ヨーロッパ最高地点の駅を目指す。

メンヒとユングフラウを背景に

 

 

 

 

 

氷河に近づく

 

 

 

 

 

 

 

途中のアイガーグレッシャー駅からはトンネルに入る。

アイガーグレッシャー駅

 

 

 

 

 

 

ユングフラウヨッホ駅(3454m)に到着。
こんな所に駅を作って、山の素晴らしさより、観光への力の入れ具合をすごいと思った。
自分の足で来ていないからか、高山にいる感じがしなかった。

氷河

 

 

 

 

メンヒをバックに

 

 

 

 

 

 

 

ここからメンヒの肩にある小屋まで40分ほど歩きます。
少し高山病ぎみでなかなか進まない。

矢印の尾根がメンヒへの登山道 
尾根の裏に小屋がある

 

 

 

 

 

 

メンヒ(標高4107m)への登山道の取付きから頂上に向かう人をずっと見てた。
この尾根は、那須の東南稜よりは簡単そうで正直、登れそう。

メンヒ頂上への登山道取付き。矢印に人がいます。

 

 

肩ノ小屋

 

 

 

 

 

 

 

 

駅まで戻る。今度はユングフラウヨッホが迎えてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

アイガーグレッシャー駅で下車して、クライネシャイデックへもどります。

氷河の山を背に下ります。

 

 

 

 

 

スイスでは、ワンちゃんと登るのはあたりまえ

 

 

 

 

アイガー北壁には圧倒されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はグリンデルワルトから、ラウターブルンネンへ移動します。

この二日歩いて、
・天気予報はあてにならないというか、だいたい午後から雨予報です。
朝の空を見て行程を検討するのがいいのかもしれません。
・夏でもスイスの山はもっと白い山と思っていたが、違っていた。
氷河が明らかに後退している。温暖化の影響か・・

以上 続きは「ミューレン編」へ。

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